積み木
前回の記事ではいきなり『レイアウトの極意』と称して、私がこれまでの経験から得てきたデザインのポイントを二つ、書きました。

ただこれは、単に文字などのレイアウトをする際にチェックするべき部分というだけで、実際に『スペーシング』や『重さ』を具体的にどう決めていけば良いのかについてはほとんど何も説明していませんでしたし、これだけでは足りないという方も多かったかと思います。

そこで今回からは、デザイン・レイアウトについて、あらためて基本に立ち返って、その法則やルールについて考えてみることにしましょう。

スポンサーリンク

世の中は、デザインだらけ

まずは最初の最初に立ち返って、デザインとは何なのかについて考えてみます。

そもそも、デザインって何でしょう?
駅の構内に貼られた、文字や写真やイラストが大胆に配置されたポスター?
センスの良い展示会のチラシ?

確かに、これらはデザインです。
ちょっと周りを見回すと、プロのデザイナーさんたちが腕によりを掛けた素晴らしい作品が、次から次へと目に入ってきます。

独特の雰囲気を身に纏った近づきがたいスゴい人たちが、何やら人知の及ばない異次元の技術を駆使して作り上げているようなイメージですよね。

(実は、もともと才能のない私はいまだに凄腕のデザイナーさんたちに対してちょっとこんなイメージを持っています。(汗))

そんなわけでデザインと聞くと、なんだかものすごく小難しいものと思われる方も多いのではないでしょうか。

デザインしてます!でも、実はそうではないんです。

今朝の新聞に折り込まれてきた近所のスーパーのチラシ、これもデザインなのはお分かりですね。
昨日会社の会議で配られたプレゼン資料、これもデザイン。

そして今あなたが小さい紙に文字を書き殴ったメモ、これさえもまた、デザインと言えるものです!

紙だけに限りません。

あなたが読んでいるこのブログもまた、デザインです。
あなたが手にしているスマホも、そばに置いてあるコーヒーが入ったマグカップも、デザインです。
外に出ると目に入ってくる看板や標識、建物、町並みのレイアウトでさえも、全てデザインと言えるものです。

そして今あなたが何気なしに机の上にスマホを置けば、そのレイアウトもまた、ひとつのデザインになります。

要するに、人が作った目に見えるものの形や《ありよう》は、みな全てデザインなのです!

デザインとは?

ではここでちょっと、デザインという言葉の意味について調べてみましょう。
まずGoogleで検索してみると

  デザイン
《名・ス他》設計。図案。意匠。また、製品の機能や美的造形を考慮した意匠計画。

と答えてくれました。
次にwikipediaを見てみると

デザイン(英語: design)とは設計のことだが、(日本語に限らず)「意匠デザイン」(他に「造形デザイン」など)の意味で単にデザインの語が使われていることも大変多く、デザインすなわち意匠のことだと思われていることも非常に多い。英語では意匠については「スタイル」という語があるためそちらが使われる場合・分野もあり、例えば日本でいう「建築様式」に近いフレーズとして architectural style がある。

…などと書かれています。

wikipediaの方は特に妙に小難しく書かれていますが、要するに『人が工夫を凝らして作ったカタチ』という意味だと思います。
人は何も考えずにものを作るわけがありませんから、よくかみ砕いて考えてみると、先ほど私が書いた『人が作った目に見えるものの形や《ありよう》』と大した違いはありませんよね。

スポンサーリンク

デザインの存在理由

デザインという言葉そのものの意味が分かったところで、今度はその存在する理由、デザインの価値、言い換えれば、なぜデザインというものがあるのか、デザインをする時には何を目指せば良いのか、について考えてみましょう。

かっこいいデザインで、人を惹きつけることでしょうか?

凄腕のデザイナーさんが作ったポスターなどを見ていると、図柄の格好良さや美しさばかりが目につき、『芸術性』が何よりも大切なことなんじゃないかと思わせられてしまいます。

でも、待ってください。
人がものを作るのには、目的があります。
その形をどうするか工夫を凝らすのも、その目的の達成をよりスムーズにするためではないでしょうか?

つまり、『目的』を実現させるために効果的に働くこと、これがデザインの本当の使命であり、存在理由なのです。

美しさそれ自体が作り出された目的であるものも確かにありますが、ほとんどはそうではないですよね。

ポスターやチラシなら、こんな素晴らしい商品があるよ、この商品がお買い得だよ、こんなイベントが開催されるよ、などといった情報をきちんと伝える機能。
プレゼン資料なら、企画の内容を分かりやすく説明する機能。
あなたが書き殴ったメモなら、後で見直したときにちゃんと系統立てて内容を思い出せる機能。
部屋の家具や日用品のレイアウトなら、より暮らしやすく、快適に使っていくための機能。

かのスティーブ・ジョブズ氏も、こう仰っています。

Design is not just what it looks like and feels like. Design is how it works.
(デザインは、単にそれがどんな風に見えるか、どんな風に感じられるか、ではない。どう働くか、なのだ。)

デザインで一番大事なのは機能性である、と言っているんですね。
あなたがアップル製品を一度でも使ったことがあれば、彼のこの言葉が常にその設計思想の底に流れていることを、大いに実感できるでしょう。

デザインはまず何よりも、機能的であるべきなのです。
美しさや芸術性はその次に来るものです。

…なのですが、実は機能性をどんどん突き詰めていくと、ごく自然に人が快いと感じるもの、美しいものに近づいていったりするのが、デザインの面白いところだったりするんですけどね。

この辺りも、また今度デザインの仕組みやルールについて説明するときに一緒にお話しします。

まとめ

デザインとは: 人が作った、目に見えるすべてのものの形や《ありよう》。
デザインの目的: デザインされたものの本来の機能を最大限に発揮させるための助けになること。

例えばポスターやチラシなら、『伝えたいことをより的確に伝えるための技術』が、デザインということになります。
カッコイイかどうかは、関係ないのです。

デザインというのがそんなに取っつきにくいものではないこと、お分かりいただけましたか?

次回は、レイアウトデザインを軸に今回説明した『機能性』を効果的に発揮させるための基本的な知識について、お話ししていこうと思います。

それでは、今回はこの辺で!